2006年07月05日

『職業欄はエスパー』

森達也氏の著作『職業欄はエスパー』を読んだ。

森達也氏との出会ったのは
先日(確か一ヶ月も前じゃなかったと記憶している)
放映されたテレビ番組であった。
やしきたかじんが司会をしている番組で
タイトルは残念ながら忘れた。
「宗教はなぜ必要なのか」という問いに対して
「人間は知ることを知ってしまったから」
とコメントしていたのが印象深く
テレビ番組を見た後でインターネットで検索。
著作をたくさん出していることを知り
その後数日が経った頃偶然にジュンク堂に
行く機会を得たのでタイトルに挙げた
『職業欄はエスパー』と
『「A」マスコミが明らかにしなかったオウムの素顔』を購入した。
どちらも角川文庫である。

Amazonで森達也を検索すると50件がヒットする。
そのうちでこの2冊を選んだのは
もちろん文庫ゆえの手軽さということもあるが
私がかねてより"オカルト"というものに
興味があることも実は理由の一部を占める。

このうち今日、『職業欄はエスパー』のほうを読み終えた。
あまりに面白く一気に読破した。
こんなに没頭して読むのはいつ以来だろう。
テレビで誇張されて面白おかしく描かれるエスパーは
言うまでもなくその裏で賞賛と誹謗中傷の中に生きているわけで
そういう部分をありありと示してみせようという着眼点の凄さ。
加えて森氏の文体の見事さもエスパー達の苦悩を
あらわしてやまない。

あるいは―――

他人事ではないという思いがこの本に対する共感を生み
没頭して読んだのかもしれない。
私自身、超能力、霊感といったものをしばしば経験する。
要するにそういった能力を持っているわけだ。
そして自分がそういう能力を持っていると告白すること
またそういう能力の開発に打ち込むことが
社会的生活を危うくすることを肌で感じて知っている。
エスパーとしてテレビ出演することもよくある彼らなら
その恐怖感は私の比ではないだろう。

本を読み終えて私は
長い間胸の奥でつっかえていたものが取れた気がした。

エスパーと呼ばれている彼らもまた同じ人間であった。
マジックと違って心理状態が大きく影響する超能力は
日によって出来不出来が当然出てくる。
テレビの前で大衆の目を意識すると
成功しにくいなんて面白いではないか。
マジックの華やかさとは一線を画す泥くさい世界がそこにある。
それは私の生きる空間とそんなに遠くない場所だった。

この記事を書いている今
私は自分の中に第二次超能力ブームが
到来することを予感している。
自分の世界とエスパーの世界の近さを感じたゆえでもあるが
それよりもしばらく超能力をなんとなくの恐怖感うゆえに
無意識に遠ざけていたことから解放されたという理由が大きい。

またしてもいわゆる"normal"な世界から
私は離脱していくのだろう。
そこに一抹の切なさを感じるのは
彼らエスパーと同じである。



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